住民税や所得税の控除対象になり、返礼品がもらえることから人気を集めるふるさと納税。東京・有楽町にある「ふるさとチョイスCafé」では、本制度に関するセミナーや寄付のサポート、各地の返礼品の試食、各自治体と連携したイベントの開催など、各種サービスを提供しています。
今回は、ふるさとチョイスCaféと昭和女子大学、三重県多気町が共同で行った「昭和女子大学×三重県多気町のふるさと納税イベント」の様子をレポートします。
ふるさと納税とは──トラストバンク橋本さん
まずは、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する株式会社トラストバンクの橋本友美さんから、ふるさと納税の概要、地域事例について学びます。
ふるさと納税は、多くの人が生まれ育ったふるさとではなく、進学や就職などで移り住んだ都市部に納税していることから、税制を通じてふるさとや応援したい地域に貢献するために設けられた制度です。ポイントは、「寄付先(使い道)が選べる」「税金の控除が受けられる」「返礼品がもらえる」の3点。返礼品には、工芸品や特産物のほか、最近ではイベントや宿泊など、体験を提供するものも増えてきているのだとか。橋本さんからは、サメのダイビングやマラソン大会の出場権、特別拝観といった事例が紹介されました。
控除限度額の正確な算出には個別で計算が必要ですが、「寄付の合計金額から2,000円を差し引いた額が控除され、その上限額は住民税所得割額の約2割」と説明されました。目安は源泉徴収票や確定申告書の控えを用いて、寄付金控除シミュレーションで調べることもできます。
次に紹介されたのが、ふるさと納税を受けた地域での寄付金の活用事例です。橋本さんは、「ふるさと納税は、地域課題を解決するひとつの手段と言い換えられます」と語ります。今回は、事例として北海道上士幌町、北海道遠別町、香川県三木町の取り組みが紹介されました。
北海道上士幌町
人口の減少が進んでいた同町が、ある時を境に人口増に一転。その理由は、ふるさと納税の基金を活用した認定こども園の10年間完全無料化でした。
また子育て支援だけでなく、ふるさと納税の返礼品が人気を集めたことにより、雇用も拡大。雇用先も合わせて確保されたことで、移住者が増加した事例です。
北海道遠別町
2015年に14人まで落ち込んだ、廃校寸前の農業高校の入学者数が、同校の加工品を返礼品として提供したことで話題となり、2019年に22人まで増加。町外からの入学者数が増え、寄付金を活用して男子寮の増設にまで至った事例です。
香川県三木町
高品質でありながら注文が低迷していた桶を、ふるさと納税の返礼品に活用。結果、全国から申し込みが殺到し、香川県の伝統工芸士にも認定されました。売り上げがV字回復したことにより、息子が会社を辞め後継者に。ワインクーラー用の桶など、新商品の開発にも着手しています。
このように、ふるさと納税はさまざまな地域課題の解決にも役立っているのです。
三重県多気町×ふるさと納税──多気町農林商工課 松本さん
次に、三重県多気町の農林商工課に努める松本拓摩さんより、多気町でのふるさと納税の取り組みについて説明が行われました。
「もともと、多気町がふるさと納税を始めたのは、町の事業所を紹介するパンフレットを作りたかったからなんです」(松本さん)
農林商工課として、町のさまざまな事業所をPRしたい。しかし、公平な立場でいなければならない役所の特性上、簡単に特定の事業所を紹介できないジレンマがあったのだといいます。そこで、ふるさと納税の返礼品に協力してくれた事業所を冊子にしてまとめることに。
多気町のふるさと納税での寄付額は、おととしの6,000万円から、昨年度には目標に掲げていた1億円を突破。今年度は2億円を目指していたところ、目標を大きく超える4億8,000万円に達しました。
予想以上の反響に、「全国に返せるような取り組みに寄付金を使いたい」と考えた多気町。そこで、ふるさとチョイスがふるさと納税を活用して行っているクラウドファンディング、「ガバメントクラウドファンディング」に挑戦することになりました。
一般的なふるさと納税でも、各自治体が寄付金の使用目的について記載していますが、ガバメントクラウドファンディングは、プロジェクトとしてより詳細に使い道を提示できます。多気町は、生産の難しさから生産者が減少しつづけていた「伊勢いも」の危機の解決にガバメントクラウドファンディングの利用を決めました。未来の農業への貢献も視野に入れ、農業を学んでいる高校生に最先端技術を身に着けてもらう取り組みに対する支援を呼びかけています。
「うまくいけば全国への模範になる仕組みになるのではないかと思っています」(松本さん)
つい返礼品ばかりに目を向けてしまいそうになるふるさと納税。松本さんは、「まずは皆さんの地元に寄付していただきたいのが本音です」と語りました。松本さん自身、役場の職員になって初めて地元にさまざまな特産物があることを知ったのだといいます。
「今日をきっかけに、出身地のふるさと納税を調べてみてください。多気町も今後どんどん発信していきます。ご興味のある方は、本日後ほどでもお声をかけてください」と締めくくりました。
昭和女子大学×三重県多気町の取り組み──昭和女子大学学生
最後は、本イベントの企画を行った昭和女子大学の学生たちによる、三重県多気町との取り組みについての発表が行われました。
昭和女子大学では、学生主体の「プロジェクト活動」が行われています。学生のみで行うものもあれば、地方自治体や企業に協力を仰いで行う活動もあるのだそうです。三重県多気町との取り組みは、今年で3年目。8月のインターンシップがメイン活動となり、学内でのイベント企画や特産物の学生向け販売と、東京在住者に多気町の魅力を伝える活動を行っています。
例年11月にふるさと納税の寄付者に向けた「ファン感謝祭」を行って活動の締めくくりとしてきましたが、今回は学生たち自らが「もっとPRを行いたい」とふるさと納税総合サイトに打診。トラストバンクが応えた結果、本イベントの開催が実現しました。
イベントでは学生たちが企画した多気町ツアーの発表が行われました。8月のインターンシップで観光地や役場の仕事を見学したのち、魅力を堪能できるツアーを企画したそう。金・土の1泊2日のツアーは、多気町を中心に、伊勢神宮やおかげ横丁といった観光地も巡る内容。学生たちが実際に足を運び、食べた結果「知ってほしい」と感じたものだけを詰め込んだ、オリジナリティのある内容です。
次に紹介されたのが、多気町にある相可高校のクラウドファンディングを活用した二つの取り組みです。一つ目は、多気町特産の「前川次郎柿」のうち、出荷できないキズ柿を使用して作ったシュトーレンづくりです。前川次郎柿は、近年の気候変動により、収穫前に台風被害を受ける頻度が高くなっているといいます。出荷量の減少に苦しむ農家を助けるため、相可高校の生徒たちの発案で、キズ柿をシュトーレンに活用。ふんだんに柿を使用したシュトーレンは多気町のふるさと納税の返礼品として提供されています。
もう一つが、農林商工課 松本さんの話にもあがった「伊勢いも継承プロジェクト」です。伊勢いもは栽培に手間がかかるうえ、収穫量の3割を種いもにしなければならないことが、農家が十分に収益を挙げられない要因となっていました。そこで相可高校では、IoTによる種いもの栽培に着手。種いもとなるはずだった3割分も出荷に回して収益増を実現し、伊勢いも農家が生産を続けられるようにするのが狙いです。
イベントは毎月開催。ふるさと納税相談も受付中
発表が終わったあとは、学生たちが考えた「多気町クイズ」を楽しみ、伊勢いもを使った「伊勢いもカステラ」や伊勢茶が振舞われました。
さまざまな来場者と各登壇者の熱気に包まれた1日でした。
ふるさとチョイスCaféホームページには、直近のイベント内容が掲載されています。その他、セミナーの開催やふるさと納税相談にも対応。今回のイベント終了後には、ふるさと納税の手続き方法などをスタッフに聴く来場者の姿が多く見られました。
「寄付金がきちんと役立ったことを知れるものへ寄付をしたい」「返礼品はいらないから、災害支援に繋がるふるさと納税を利用したい」といった人も増えているように感じると語ってくれた橋本さん。ふるさと納税の、「寄付をした、その先」を知れたイベントでした。
ふるさとチョイスCafé
住所:東京都千代田区有楽町1-12-1 新有楽町ビル B1F
電話:0120-36-1089
営業時間:営業時間
[火~日] 11:00~18:00
HP:https://www.furusato-tax.jp/feature/a/cafe
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