2019年9月13日、九州経済産業局(経済産業省)と株式会社YMFG ZONEプラニング(通称:YM-ZOP)が主催するセミナー、「スキルシェアリングプログラム」熊本会場に参加しました。
政府も副業を後押しする中、今後外部人材を採用する「スキルシェア」の動きはさらに活性化するものと思われます。本イベントでは、九州経済産業局からの事業紹介、YM-ZOPによるイントロダクションの後、基調講演では株式会社groovesから、スキルシェアが企業にどのようなメリットを生み出すのか、事例を交えながら詳しく語られました。
副業解禁・外部人材の活用で企業の採用や事業はどのような変化を遂げるのでしょうか。本イベントを通して見えた企業の未来をご紹介します。
〇スキルシェアプログラミング主催
主催は「経済産業省・九州経済産業局」。地方の企業を発展させるための活動に取り組んでおり、副業解禁を活かすため、地方企業とのマッチングを推進している。
〇スキルシェアプログラミング運営企業
株式会社 YMFG ZONEプラニング。山口県下関市に本拠地を持つ、山口フィナンシャルグループの子会社。地方創生を軸に、コンサルティングなどを行っている。官民一体の取り組みを進めており、自治体との連携実績も多数有。
外部人材の知見がイノベーションを生む
外部人材の活用については、現在、政府も後押ししているところです。厚生労働省では、副業・兼業の促進に関するガイドラインを公表しています。ガイドラインの中では、副業・兼業は、日本全国でオープンイノベーションを生み出すために有効だと謳われていますし、
企業は、従業員の副業や兼業を認めるべきと公言しています。しかし、副業や外部人材の活用はそれほど浸透していないのが現状です。
地方の企業では、人材不足が深刻化し、廃業に追い込まれる例も少なくありません。企業の活力の衰退は、地域の財政にも大きな影響を与えます。
そこで活用したいのが外部人材です。通常、他企業で働く外部人材を採用することで、これまでとは異なる動き・事業展開も可能になるかもしれません。企業それぞれが新たな文化を取り入れることで、ひいては地域全体の活性化につながる可能性があるのです。
ビジネスパーソンの間で今よりも副業・兼業の動きが進めば、今後、外部人材の活用はさらに活発化していくはずです。今回の講演における全体のキーワードは、「イノベーション」でした。企業が地方で生き残るためには、外部人材を活用して企業内でイノベーションを起こす必要があると鈴木氏は語ります。
同じ専門性を持っている従業員が多い企業では、新しい発想が生まれにくいものです。これまでの積み重ねを信じて疑わず、専門内の常識にとらわれがちになります。そこに異なる専門性を持つ人が加われば、異なる視点・発想で社内の常識を覆してくれることでしょう。
つまり、イノベーションを生み出すためには、すでに企業にあるスキルを持つ人材ではなく、全く異なるスキルや知見をもつ人材を取り入れることが必要なのです。
副業者はお金目的で働く人ばかりではない
外部人材の活用が進む中で、懸念されるのが「外部人材に対する報酬」です。経営者や人事担当者の中には、副業者に対して「お金が目的なのでは」という考えを持つ人もいるのではないでしょうか。
ところが実際の事例では、「社会貢献をしたり自身のスキルを上げたりと、報酬以外の目的を持っている人」が副業を行っているといいます。現在、副業を解禁している企業は大手企業が目立ちます。大手企業で働いている人は、本業である程度の給与を受け取っており、副業で稼ぐ必要はほとんどありません。
さらに、昨年度の実証事業の調査では、優秀な人材ほど副業をする人の待遇は安くなるとの結果が出ています。つまり、副業をする人が全員お金目的であるとは限らないのです。
2012年に一般財団法人・日本生産性本部が行った調査でも、2000年以降、社会貢献したい若者が増加しているという結果が出ています。2005年までは社会貢献をしたいと思う人は5%未満にとどまっていたものの、2012年には10%を超えています。
その一方で、経済的豊かな生活をしたいと答えた人は減少しています。これは、お金よりも貢献を重要視する傾向が近年高まっている表れです。これらのことから、自分のスキルを活かしながら社会貢献できるスキルシェアに興味を持つビジネスパーソンが今後も増加することが予想されます。
正社員ではなく外部人材を雇うメリット
労働人口が減少し慢性的な人材不足が必至となる今後の社会において、スキルシェアの取り組みはますます過熱していくことでしょう。外部人材を取り入れる企業から見ても、外部人材を採用するメリットは複数あります。
正社員採用時と比べて、コストが安い
正社員と比べて働く期間が短い分、外部人材に対する毎月の報酬は低くなります。しかも、社会保険料・雇用保険の一部を負担しなくて良いのも、外部人材を活用するメリットです。
人材を上手く活用できる
正社員だと、閑散期でも出勤するのが基本です。しかし、外部人材であれば必要な時に必要な分だけ仕事を任せられます。
企業内で新たな文化・イノベーションが生まれる可能性がある
分野の異なる別の企業で働いている外部人材を採用すると、新たな文化が企業内で生まれる可能性があります。
たとえば、製造業がIT企業で働いている人を外部人材で採用し、IT企業内にある文化を企業内に取り入れるイメージです。
社内にいない業種の人材を採用すれば、企業内でイノベーションが生まれて、事業拡大につながる可能性があります。
外部人材の活用事例
最後に、本セミナーで紹介された外部人材の活用事例について紹介します。
1.外部人材が従業員の育成に役立った事例
野菜の生産などを行っている企業の例です。この企業は、マネジメントスキルを持つGoogleのマーケターを外部人材として採用しました。Googleのマーケターが持つスキルや知見が営業人材の育成につながり、効率的な営業スタイルに変えることができたそうです。
専門的なスキルを持つ外部人材を採用すれば、外部のコンサルに頼む場合と比べて低コストでの人材育成が可能です。
2.外部人材を活用して作業者を採用できた事例
すでにWeb業務に関するアドバイスをくれる外部人材は採用していたものの、アドバイスを基に作業ができる人材が足らず、困っていた企業のケースです。
- Aの作業に対して、外部人材よりアドバイスをしてもらう
- アドバイスの内容を企業側で理解するものの、自社にその作業ができる人材がいない
- 作業をする人員がいないため、業務が滞り悪循環。
外部人材によって作業のノウハウは理解していても、人材不足でそのノウハウを業務に活かせていないという課題がありました。
そこで、新たにその分野の作業ができる人を外部人材で採用しました。結果、作業の流れがスムーズになった事例です。
このように外部人材を活用すると、社内でイノベーションが生まれるだけではなく、仕事の流れが変わったり、従業員のスキルが上がったりして、企業の業績向上につながります。事業拡大によって企業のビジネスに関係する人口が外に増えていけば、その地域へ訪れる人も増えてくるでしょう。企業が地方活性化に貢献することで、地方が潤えば、その恩恵はまた企業に還元されていきます。
企業・自治体ともに「WIN×WIN」の関係を築くことができれば、そこから新たなプロジェクトが生まれて、企業・自治体ともに有名になる場合もあります。
まとめ
外部人材を活用すれば、社内にイノベーションが起こって事業拡大につながり、地方創生においても役立つことが分かりました。
外部人材を採用すれば、新たなビジネスチャンスが生まれるかもしれません。
会社員の中には、普段は都会で働きながら、本業が休みの時に地方で仕事をしている人もいます。外部人材の採用を活用して、地方創生に力を注いでみませんか?
イベント名:スキルシェアリングプログラム(熊本会場)
主催:九州経済産業局(事業受託機関:株式会社YMFG ZONEプランニング)
※レポートの内容は2019年9月13日現在の情報です。
投稿者プロフィール
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