[北海道]介護の未来をこの手で変えるー長内美紀さん

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ふぉろかる編集部

今回ご紹介するのは、北海道で活動するフリーランス介護士  長内美紀  さん。

長内さんはさまざまな介護施設をまわり、「アクティビティケア」の企画と実践を行っています。アクティビティケアとは、遊びや運動、日常生活における活動を通し、高齢者の生活の質を向上させ、心身機能の維持につなげていくケアのことです。

アクティビティケアで行うものには、レクレーションのほかにも、散歩の習慣づけ、調理、学習といったものも含まれます。特別な日だけでなく、「施設にいる高齢者が毎日楽しめる」ようケアをすることが大切なのだそうです。

「心が動けば体も動く」をモットーに、施設の利用者とそのスタッフへ惜しみない愛情を注ぐ、長内さんの事業内容やこの先の展開についてお伺いしました。

介護の現場を変える「誰か」が必要。それが私だった。


――長内さんは起業される前から介護士のお仕事をなさっていたのですか?


起業するまでは、施設の介護士として12年間働いていました。認知症ケアについて学んでいくうちに「アクティビティケア」に出会い、その感動を広く伝えるためフリーランスの介護士になりました。



――一般的な介護士は施設に属するものだと思っていたのでとても驚きました。フリーランスになった後は大変だったのではないですか?

施設を飛び出したのは、3年、5年、10年と、この先の介護を見据えてのことです。確かにフリーランス介護士への理解や認知が広まっていないという実感はあります。そういった意味で大変なことは多々あります。

特に私が介護士ということで、医療関係者やケアマネージャーからは下の立場に見られることも少なくありません。介護の現場の中で、不思議と介護士は下の立場になっているんです。

ですから、「アクティビティケアをやりませんか?」と私が企画し実行していく中で反発もありました。介護を「現場の中から」変えていくというのはなかなか難しい、と体感しています。

介護の現場は施設のスタッフがつくるものです。介護士やスタッフの想いは施設の利用者にも伝わります。利用者のみなさんに毎日楽しく過ごしてもらうためには、スタッフの努力が必要不可欠なんです。それを分かっている介護士の中には、業務外で独自に勉強をしている人も多くいます。

ところが、周囲からは「介護士の仕事はつらい、汚い」といわれ、あるいは介護士の虐待や事件が起きるたびにそのことだけがクローズアップされてしまいます。これでは現場の士気も下がりますし、新しく介護士になりたいという人が減ってしまうのも無理はありません。

私がフリーとして各施設へ赴きアクティビティケアを広めていくことで、介護士という職業への夢や希望が生まれ、それが利用者にとってもいい状態になるのではないかと。誰かが介護を変えていかなければいけないなら、私がやる。そんな思いで事業を続けています。介護・福祉を変えていくことは、私の使命だと思っています。

「価値のある人を育てる」ことの重要性

――介護の中から変えていくということは、長内さんは後進の育成にも力を入れているのですか?

これは今後のことになるのですが「人を育てる事業」も進めていく予定です。介護という枠を飛び越えて、若い世代に広く学びを伝え育てていこうと考えています。これは地域活性化にもつながるのではないかと。

「人の心が輝いて、人が動いて街が明るくなる」。地域の活性化のためには、人と街とが円になって循環することが大切だと考えています。



――介護の働き手が不足して介護ロボットの導入が進んでいると聞きますが、それについてどう思われますか?



介護士は日々、利用者の皆さんとコミュニケーションを取れるよう努力しています。人手が足りずにロボットを受け入れることになったとき、必要になるのが価値のある介護士です。価値のある介護士が増えるように、これからも育成は続けていきます。


アクティビティケアで広がる笑顔と感動

ふぉろかる編集部


――アクティビティケアの内容と事業について詳しく教えてください。


アクティビティケアの企画・実践をしていて感じるのが、テレビ番組のプロデューサーのような仕事だなと。この企画を実践することで、みんながどのような反応をするのか、それを想像しながらひとつひとつ組み立てていくんです。

企画の内容は、介護士が普段やりたくてもやれないことを拾い上げたり、利用者のこれまでの人生だったりをヒントにしています。

例えば100歳の誕生日を迎える利用者さんのお祝いで、とある演出後、急にその方が女学校時代の校歌を歌いだしたんです。普段歌ったりしないのに急に歌いだして、その瞬間にスタッフが感動して泣いてしまって。

他の企画では、お風呂が嫌いで入りたがらない利用者さんのために、特別に飾り付けをしたお風呂を用意したんですね。そうしたら利用者さんが来る前にスタッフが感動して声をあげてしまって、サプライズだったのに利用者さんにバレてしまったんですけど。

でもその利用者さん、「自分のわがままを聞いてくれて、ここまでしてくれてありがとう」って泣いていたというんです。お風呂に入らないのは嫌いだからじゃなくて、単にわがままをぶつけていただけだと。その日以来、毎日ではないにせよ、お風呂に入るようになったそうですよ。



――本当に素晴らしいですね。……それはそうと、いつも長内さんはラジオに講演にと精力的に活動されていますよね。


自分でも動きすぎなんじゃないかと思うことがあります。こうやっていろいろな場所で発信していると、実はマイナスになることもあるんです。それでも、発信することによって「この人にお願いしたい」と利用者さんの家族から指名されることもあります。


「事業を始めたときに反発があった」という話と繋がるのですが、現場の中から変えようとするとどうしてもしがらみがあって動けなくなることがあります。だから外に向けて、市民に向けて広くアプローチしているんです。

市民の後ろには介護される利用者がいるし、介護士もいます。講演を聞いた人が介護士を紹介してくれてそこから繋がりが生まれ、さらに講演を依頼されたり、アクティビティケアをやってほしいと頼まれることもあります。

誰しもがまねできないほどの行動力、これが自分の強みだなと。



――最後に、今後の介護士に必要だと思うことを教えてください。


これから先、「中身に価値がある」施設だけが生き残っていくと思います。施設自体はどんどん増えていますが、全部が生き残るとは思えないです。

では価値のある施設とは何でしょう?それは介護を心から楽しむスタッフがいて、安心して家族を任せられる施設でしょう。「あの施設にはあの人がいるから安心」というように、介護士も選ばれる時代が来ると思います。

現在、介護士の教育は多くの場合、行政や医療関係者がしています。介護士から見ると、「介護の経験もないのになぜ違う職業の人に教えられるのか」という不満を覚えるとともに、「やらされている」という気持ちが強くなってしまう。

だから同じ介護士という立場である私が、講師として現場の介護士に介護の楽しさを伝えていけたらと考えています。

試行錯誤しながらも目標を見失わない長内さんに感動

ふぉろかる編集部

長内さんのお話を伺っている間中、「介護への熱い想い」を感じ取ることができました。

安定した施設での介護士をやめ、収入が不安定になり家族からの反対もある中で、「介護を変えたい」という信念をずっと持ち続け動く。これは誰しもができることではありません。

長内さんの言葉で最も印象的だったのが、「街が動けば道が動いて国が動く、世界も動く」という一言です。自分の出した一歩は小さな一歩でも、子どもや孫たちが活躍する未来への礎となれば。これほどうれしいことはないでしょう。

これから長内さんがどのように介護の世界を変えていくのかも気になります。10年後の介護士の笑顔は、長内さんが創り上げているかもしれません。介護士の固定概念を打ち破り、活動の幅を広げ続ける長内さんのこれからにも目が離せません。

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投稿者プロフィール

高橋みゆきふぉろかる代表
ふぉろかる編集長。頑張る人や企業を応援したいという気持ちから、ふぉろかるを立ち上げました。北海道北見市で「地域の宝」を探し中。

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・ブログの作成・運用……代筆いたします

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